【印紙税】どのような金額が「契約金額」に当たりますか?
課税文書の中には「契約金額」の大きさによって印紙代が異なるものがあります。そのため、その文書の「契約金額」がいくらであるのかを判断する必要がありますが、文書に何らかの金額が記載されていてもそれが「契約金額」に当たるとは限りません。どのような金額が「契約金額」に当たるのかは、印紙税法基本通達第23条で、以下の通り、課税文書ごとに定められています。
(1) 第1号の1文書及び第15号文書のうちの債権譲渡に関する契約書 譲渡の形態に応じ、次に掲げる金額
イ 売買 売買金額
ロ 交換 交換金額
なお、交換契約書に交換対象物の双方の価額が記載されているときはいずれか高い方(等価交換のときは、いずれか一方)の金額を、交換差金のみが記載されているときは当該交換差金をそれぞれ交換金額とする。
ハ 代物弁済 代物弁済により消滅する債務の金額
なお、代物弁済の目的物の価額が消滅する債務の金額を上回ることにより、債権者がその差額を債務者に支払うこととしている場合は、その差額を加えた金額とする。
ニ 法人等に対する現物出資 出資金額
ホ その他 譲渡の対価たる金額
(2) 第1号の2文書 設定又は譲渡の対価たる金額
なお、「設定又は譲渡の対価たる金額」とは、賃貸料を除き、権利金その他名称のいかんを問わず、契約に際して相手方当事者に交付し、後日返還されることが予定されていない金額をいう。したがって、後日返還されることが予定されている保証金、敷金等は、契約金額には該当しない。
(3) 第1号の3文書 消費貸借金額
なお、消費貸借金額には利息金額を含まない。
(4) 第1号の4文書 運送料又は傭船料
(5) 第2号文書 請負金額
(6) 第15号文書のうちの債務引受けに関する契約書 引き受ける債務の金額
このように、どのような金額がその文書の「契約金額」に当たるのかは課税文書ごとに異なりますので、「契約金額」を判断する際には、先にその文書が第何号文書に当たるのかを判断する必要があります。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 山田重則
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