令和2年改正個人情報保護法の施行が迫っています

令和2年改正個人情報保護法(以下「令和2年改正法」といいます。)が来年4月1日から施行されます。令和2年改正法では、プライバシーに対する消費者意識の高まりや個人情報保護に関するグローバルな規制強化の流れを受けて、個人の権利が拡充されるとともに、事業者に課せられる義務と責任が加重されています。

従来、個人情報保護法対応については、チェックリストを活用した形式的な対応が可能であったこともあり、法務以外の部署が主管となって対応しているケースも多く見られましたが、令和2年改正法では、「不適正利用の禁止」(法19条)の新設により、法務視点での実質的な検討が求められる場面が出てくるため、主管部署や審査体制の変更が必要になることも考えられます。

また、利用停止・消去等の個人による権利行使要件の緩和や対象データの範囲拡大により、個人による権利行使が増えることが予想されます。個人による権利行使に適切に対応するためには、どのデータがどこに保管されているのかを適切に把握できていなければならないため、システムの改修が必要な場合も出てくると考えられます。

令和2年改正法では、「個人関連情報」や「仮名加工情報」など、法務の専門家にとっても理解が容易ではない技巧的な概念・制度が新設されます。社内でのガイドラインの整備や事業部門の方々への周知には相応の時間を要すると考えられますので、改正法施行後に混乱が生じないよう早めの対応が必要です。

令和2年改正法の施行まであと4ヶ月を切りました。対応が未了の場合は、早急に要対応事項を確認して対応を完了するようにしましょう。

※ 個人情報の保護に関する法律の条番号は、令和 3 年改正法による改正後の条番号を示しています。

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