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連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク第97回 消費税の仕入控除税額の計算方法の選択誤りと更正の請求

 
投稿者
鳥飼総合法律事務所
取扱分野
税務
 

消費税の仕入控除税額の計算方法の選択誤りと更正の請求

 

Q 消費税の仕入控除税額の計算につき、一括比例配分方式によって確定申告をしたのですが、その後、個別対応方式によった場合よりも、税負担が大きかったことがわかりました。個別対応方式により税額を計算し直して、更正の請求をすることはできるでしょうか。

 

A 一括比例配分方式と個別対応方式の選択は、事業者の選択に委ねられているので、法律の規定に従っていなかったこと、あるいは、計算に誤りがあったことにも該当しません。したがって、更正の請求をすることはできません。

 

(解説)

1.仕入控除税額の計算

仕入控除税額の計算方法は、その課税期間中の課税売上高が5億円を超える場合、または、課税売上割合が95%未満の場合は、課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除するのではなく、課税売上げに対応する部分のみを控除します。その際の計算方式は、個別対応方式か、一括比例配分方式のいずれかになります(消費税法30条2項)。

なお、一括比例配分方式を選択した場合には、2年間以上継続して適用した後でなければ、個別対応方式に変更することはできません。

 

2.更正の請求

納税者が、確定申告において、税額等の計算が法律の規定に従っていなかったこと、または、計算に誤りがあったことにより、税額を納め過ぎた場合には、法定申告期限から5年以内(ただし、贈与税については6年、など別の定めもあります)に、更正の請求をすることができます(国税通則法23条1項)・

更正の請求は、更正の請求書を税務署長に提出して行います。更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討をして、納め過ぎの税金がある等と認めた場合には、減額更正をして税金を還付することになります。

 

3.仕入控除税額の選択誤りについての裁判例

 事業者Xが、一括比例配分方式により仕入控除税額を計算して確定申告を行った後、この計算方法は誤りで納付すべき消費税額が過大であったとして更正の請求をしたのですが、認められなかったため、裁判で争ったという事案があります。

この事案で、裁判所は、次のような点を述べて、Xの主張を認めませんでした(福岡地裁平成9年5月27日判決)。

・区分経理を行っている事業者は、確定申告の時点で、両方式によって納付すべき消費税額がそれぞれいくらになるかを計算し得るのであって、両方式による額に顕著な差異が生じる場合、納税者がより負担の低い個別対応方式を選択することには何ら制限がない。

・他方、一括比例配分方式には、個別対応方式に比してより計算が簡便であるという利点があるのであるから、両方式の長所・短所を勘案した上で、そのいずれを選択するかを当該事業者の判断に委ねるとすることに何ら問題はない。

・一括比例配分方式による税負担が個別対応方式による場合に比べて過大となる場合であっても、両方式の選択が納税者の任意に委ねられている以上、その不利益を甘受するものとして同方式を選択したものと見るほかはない。

 

このように、消費税の仕入税額控除の計算方法の選択の誤りを理由に、更正の請求をすることは認められないとされていますので、注意が必要です。

 

鳥飼総合法律事務所 弁護士 佐藤香織

 

※ 本記事の内容は、平成28年11月末現在の法令等に基づいています。

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