民事信託の受託者
民事信託を組成するにあたり、もっとも苦労するのが受託者をどうするかということである。いわゆる「お一人様」については、信頼できる親族受託者候補がいないということと同義であるから、民事信託の利用はできないといってよい。信託銀行や信託会社が受託者としてサービスを提供してくれるような標準的な内容ならまだしも、オーダーメイド性を要求するなら信託の利用はあきらめざるを得ない。もっとも受託者候補の親族が複数いる場合も問題になることがある。受託者は自己の名義で信託財産を管理処分するという絶大な権能を持つから、複数人のうち誰を受託者にするかで、候補者同士が相続争いの前哨戦としてもめるからである。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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