ダライ・ラマ14世の2

 筆者はダライ・ラマ14世が好きで、講演に行ったり著作を読んだりしている。なぜ好きかといえば、チベット仏教の最高指導者であり、亡命政府の中核であり、民族の精神的支柱でもあるのに偉ぶらないからである。むしろ隙だらけだ。
 彼は腕時計が好きで高級な時計をいくつも持っている。「この時計の価格で何人もの恵まれない人を救えることがわかっているが、時計の収集を止められない」、食べ物については「仏教徒なので菜食が望ましいことはわかっているが、チベットは寒いので獣肉を食べないと体がもたない」と言っておきながら、凍える心配のない日本での好物は牛丼だ。
 彼はすでに相当の高齢だ。亡くなったらチベットがどうなってしまうのか心配だ。中国政府はそれを待ち望んでいるのだろうが。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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