証券会社の民事信託

 証券会社の民事信託への取組が紹介されている(12月8日日経)。信託の本来の在り方としては、委託者より受託者の方が判断能力・事務処理能力が優れているから、信託により財産の管理・処分を受託者に任せるというものだ。ところが、紹介されているのは、委託者に投資にかかる指図権を留保したままスタートして、判断能力がなくなれば、指図権を委託者から剥奪するというスキームだ。有判断能力時→無判断能力時へのスムースな移行と、受託者(子ども)世代になっても引き続き顧客であって欲しいという証券会社側の願望を実現するための信託か。それなりのニーズがある実感はあるが。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

関連するコラム

奈良 正哉のコラム

一覧へ