日大ラグビー部は過剰処分ではないか

 日大ラグビー部の部員の一人が大麻を所持していたとして逮捕された。これを受けて、同部はすぐに、自らの処分として無期限の活動停止を発表した。一人の部員の部外での不祥事について、部全体が処分を受けるべきなのだろうか。戦前日本の全体主義を思い起こさせる。また犯した罪と、罰の重さはバランスしているのだろうか。学校としてのレピュテーションを気にするあまり、部や他の部員の利益を全くないがしろにしていることはないのか。それとも「無期」というのはオフシーズンに向けたポーズにすぎないのか。大麻所持は微罪であるから、初犯であれば不起訴になる可能性は高い。また、逮捕時にその部員が罪を認めていても、裁判で決着がつくまでは推定無罪は働いている。このような罪と処分がメディアに流されると、徐々にこれがスタンダードになり、運動部はいつの日かコンプライアンス部になってしまうのではないか。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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