民事信託の増加
民事信託の公正証書作成件数が2018年は2223件で、2019年はさらに増加傾向であるそうだ(10月1日日経夕刊)。民事信託を扱う者としては、「こんなものか」という程度の感想しか持たないが、顧客の間でも高齢者の財産管理手法として認知度が高まっているとの実感がある。民事信託契約書は必ずしも公正証書にする必要はないが、民事信託をきちんと動かすには、信託専用の銀行口座を作る必要がある。その口座を開設してくれる金融機関では、公正証書にすることを求められることがほとんどだ。だから、「きちんとした」民事信託の取組は上記数字に近いものだろう。ただ、民事信託は信託された財産だけを保護するもので、信託されていない財産は保護しない。さらに、保護するのは財産だけであって、高齢者の身上は保護しない。他の制度と総合的に考えることが肝要だ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2024.04.15
奈良 正哉
地方金融機関の受難は続く
相続を期に、地方に住む親から都会に住む子供世代に預金が移動している(4月14日日経参照)。金利が付…
-
2024.04.12
奈良 正哉
廃業・倒産も悪いことばかりじゃない
ゼロゼロ融資の麻酔も切れ始めて、2023年度、廃業・休業は5万件を数え、倒産も9千件を超えた。対し…
-
2024.02.28
空き家問題ニュース
空き家問題は根深いので間欠泉のようにニュースになる(2月28日日経参照)。有効利用しようとしてもそ…
-
2024.02.14
奈良 正哉
成年後見を使いやすく
認知症高齢者の保護のため後見制度がある。これを使いやすくするための検討がなされている(2月14日日…
奈良 正哉のコラム
-
2024.05.07
奈良 正哉
伊藤忠ビッグモーター救済はどうなるか
伊藤忠によるビッグモーターの救済スキームが明らかになった(5月2日日経)。しかし企業の風土、体質変…
-
2024.05.02
奈良 正哉
女性役員比率
12月決算の東証プライム上場企業の内、女性役員比率が2030年度政府目標の30%を上回っている企業…
-
2024.05.01
奈良 正哉
ゴールデンウィーク中の学校
ゴールデンウィーク中の土曜日と平日も学校は営業?しているようだ。お客さんである子どもが来るから対面…
-
2024.04.30
奈良 正哉
介入か?それでどうする?
為替は160円まで買われて、154円まで急落した。為替介入がうわさされている。 ゴールデンウイー…