社外役員は取締役会で反対できるか
社外取締役や社外監査役が、執行部提案の議案に対して、取締役会という公式な場面で、反対意見を述べるのは勇気が要る。だからなかなかできない。それをやるのが社外役員の役目だろうといわれれば返す言葉もないが、実際には難しい。やっぱり日本人はちゃぶ台返しを好まないからだ。もちろん会社の命運を決するような議案には決然と意見を述べなければ、会社のためにもならないし、自身の善管注意義務も果たせない。ただそこまでの議案ではなく、会社のガバナンスの体制や運営に対する注文であれば、取締役会の外側で、社長や担当役員に伝えるか、執行と話をすれば済む。そのためには、取締役会の時間だけを確保するのではなく、前後に時間を取って、社長や執行とフランクな話ができるようなスケジュールにすることが必要だろう。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.01.10
奈良 正哉
トヨタROE20%
トヨタはROE20%を目標とすると発表した(2024年12月28日日経)。一足早いお年玉だったろう…
-
2024.12.20
奈良 正哉
ホンダ日産経営統合
ホンダと日産は経営統合する方向だ。事実上ホンダによる日産の救済だろう。 日産は、スカイラインやフ…
-
2024.12.19
奈良 正哉
政策株売却金で投資
東京海上は政策保有株式の売却金を戦略的な投資に当てている。あらたに建設コンサルティング会社を買収し…
-
2024.12.16
奈良 正哉
アクティビストの保有期間
日経に主要アクティビストの平均投資期間が掲載されている(12月5日)。2~3年が多いようだ。そんな…
奈良 正哉のコラム
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…
-
2025.01.16
奈良 正哉
やっかいな隣国大混乱
やっかいな隣国の政治的混乱はその度合いを増して大混乱になってきた。 わからないのは、一般の警察と…
-
2025.01.15
奈良 正哉
経営コンサルタント倒産最多
経営コンサルタント会社の2024年の倒産件数が、集計以来最高になった(1月10日東京商工リサーチ)…
-
2025.01.14
奈良 正哉
中国長期金利下落・日中逆転
中国長期国債の利回りが引き続き低下している。2024年12月3日の日経の小さな記事に、30年債の利…