株主総会反対票
3月開催の株主総会では、50%台の賛成に留まった議案もあったようだ(4月14日日経参照)。6月の株主総会本番シーズンになれば、会社提案が否決されてしまうケースも出てくるかもしれない。機関投資家が、社外取締役の独立性などの基準を厳格に運用しているからだと思われる。機関投資家は内外の多数の企業に投資をしている。インデックス運用をしている大手機関投資家ならその数はさらに増える。だから、すべての会社の議案、例えば取締役候補者の人となりを、個別に評価・判断することは事実上できない。したがって、形式的な基準(資本関係、取引関係の有無等)でばっさり切っているのが実態であろう。だから形式基準を満たさない議案を提出したい企業は、それがその企業の戦略に不可欠な人選であることなどを、具体的にかつ時間をかけて機関投資家と対話することが必要だろう。丁寧な企業は前回総会が終わった直後からそうしたことをやっているとも聞く。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
投稿者等 | |
---|---|
業務分野 |
関連するコラム
-
2025.03.18
島村 謙
労働市場の変化と非上場企業の効率性
東京証券取引所が、MBO(経営陣が参加する買収)に関する新しいルールを設ける旨が報じられています(…
-
2024.09.13
奈良 正哉
株主対策は信託銀行
知った顔の写真が日経(9月13日)に載っていたので、また信託のことを書いてみよう。信託銀行は企業の…
-
2024.06.18
島村 謙
株主総会の答弁で大切なこと
1.株主総会の現代的な意義 ガバナンスコード等の影響により、機関投資家の株主にとっては、経営陣と直接…
-
2024.05.14
横地 未央
障害のある人への「合理的配慮の提供」はできていますか
2024年4月1日から、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」と…
奈良 正哉のコラム
-
2025.05.02
奈良 正哉
DEIは死なず
トランプ支配後もDEIは死なずという趣旨のコラムが、日経に掲載されている(アセットマネジメントo…
-
2025.05.01
奈良 正哉
トランプ関税折込済?
ゴールデンウイーク中に、外人に相場を「持っていかれる」ことが少なくなかった。今年はどうだろう。前半…
-
2025.04.30
奈良 正哉
空き家の本当の数
このコラムでもたびたび取り上げてきた「空き家問題」。国の発表してきた空き家の数は大幅に過大推計され…
-
2025.04.28
奈良 正哉
ビッグモーター再建半ば
伊藤忠によるビッグモーターの買収から1年経った。再建は業績的は道半ばのようだ(4月23日日経)。マ…