事業承継はまず誰に相談するのか
事業承継のセミナーが多数開催され、いずれも多数の聴講者で賑わっている。経営者にとってはそれだけ喫緊の課題であり、聴講者の多数を占める税理士にとっても、知識の習得が急がれる分野なのだろう。では、経営者は誰に真先に事業承継の手法や後継者問題などを相談するべきか。筆者は銀行だと考える。そして銀行を通じて士業その他にアプローチするのがいいと思われる。銀行の地位はずいぶんと落ちてしまった感があるが、それでも中小企業の殺生与奪権を持っている場合が多いだろう。例えば事業承継税制特例要件の一つである事業承継計画自体は、ふんわりした主観的作文ですむのだろうが、本来は資金的な裏付けのある定量的な計画が必要なのは言うまでもない。後継者の育成にも銀行が関与してくれたら言うことはない。その後の特例要件の維持が危ぶまれた場合、士業やコンサルタントは救いの手を差し伸べることはできないが、銀行はそれができる。銀行側も頼りになる士業と上手に連携していく柔軟性が必要だ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.11.17
奈良 正哉
城北信金信託免許
城北信金は信用金庫では初となる信託業務の認可を受ける(11月13日日経)。併せて遺言業務など付随業…
-
2025.08.25
奈良 正哉
合併よりSBI
SBIによる中小地銀への出資が再開した。フジテレビへの北尾氏の役員就任可能性がなくなったからだろう…
-
2025.07.17
奈良 正哉
本音の身の丈ガバナンス
私のコラム群のうちガバナンスに関するものを編集して、SNSのnote の創作大賞2025ビジネス部…
-
2025.07.09
人手不足倒産
人手不足を主因とする倒産が増加している(7月9日日経)。人手不足倒産企業が、キャッシュフロー不足で…
奈良 正哉のコラム
-
2025.11.27
奈良 正哉
日中長期金利逆転
10年国債の金利が日中で逆転した。両者とも1.8%の前半である(11月26日日経)。 円国債につ…
-
2025.11.26
奈良 正哉
大企業社長の報酬低すぎないか
売上高1兆円超の企業57社(調査回答)の社長の報酬の中央値は1.2億円だそうだ(10月21日日経)…
-
2025.11.21
奈良 正哉
円安・長期金利の上昇
中国の嫌がらせは腹は立つが、経済的には気にするほどのことではない(一部のマスコミは騒いでいるが)。…
-
2025.11.20
奈良 正哉
米国(健康)寿命の短さ
社会保障関連の連続記事の中で、主要国の健康寿命比較表が掲載されている(11月18日日経)。日本は、…