本当の株主総会対策
今年の日産の株主総会は荒れるだろう。他企業もとばっちりを受けるかもしれない。特に問題視されるのが、役員の選解任と役員報酬、その延長上にある役員退職慰労金の支払いだろう。役員報酬の額については個人株主は気焔をあげるかもしれないが、決議自体には関係がない。決議に影響を与えうる機関投資家は、額ではなくて、決め方や開示について問題意識を持っているだろう。役員退職慰労金については、機関投資家はほぼ反対の方向が出ている。機関投資家は株主総会での議決権行使については、「スチュワードシップ責任」を果たすことが求められる。個別に賛否を開示する方向もはっきりしている。機関投資家も真剣勝負だ。企業にとって、総会屋対策としての株主総会対策は遺物となり、企業統治のあり方そのものが株主総会対策となるのだろう。だから、総会直前の付け焼刃では対策にならないことを自覚している企業は、前年の総会直後から、機関投資家との会話を始めるところもあるようだ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2024.06.10
奈良 正哉
おひとり様の死後事務
おひとり様の死後事務委任のニーズが高まっている(5月25日日経参照)。すでにおひとり様はもちろん、…
-
2024.06.07
奈良 正哉
最後のお勤めとして調停員はいかが
先日前職場のOB会に出た。企業年金も分厚い世代だから老後生活としては「勝ち組」の方々か。 第二の…
-
2024.06.04
奈良 正哉
215歳の失踪宣告
相続で一番困るのが相続人の探索だ。相続人が揃わなければ遺産分割ができない。相続人が誰かは戸籍を辿れ…
-
2024.05.13
奈良 正哉
介護職不足
休日の朝7時、近所のご老人の突然の訪問を受けた。 認知症患者が高齢者の7人に1人になるとの試算が…
奈良 正哉のコラム
-
2024.07.26
奈良 正哉
小林製薬顧問報酬200万円
小林製薬は、事件の責任をとって会長を引いて顧問になった創業家一族の小林氏に対して、月額200万円!…
-
2024.07.25
奈良 正哉
中国は国営企業を中心に成長する?
中国は国営企業を中心に成長していくことを3中全会で確認した(7月19日日経)。国営企業の非効率性は…
-
2024.07.24
奈良 正哉
みずほ社員教育投資
みずほFGは社員が資格を取得した場合、報奨金として最大40万円を助成する(7月18日日経)。社員教…
-
2024.07.22
奈良 正哉
バイデン氏撤退
銃撃直後の共和党指名大会で、トランプ氏は「団結」や「全国民の代表」といった言葉使って、これまでにな…