本当の株主総会対策
今年の日産の株主総会は荒れるだろう。他企業もとばっちりを受けるかもしれない。特に問題視されるのが、役員の選解任と役員報酬、その延長上にある役員退職慰労金の支払いだろう。役員報酬の額については個人株主は気焔をあげるかもしれないが、決議自体には関係がない。決議に影響を与えうる機関投資家は、額ではなくて、決め方や開示について問題意識を持っているだろう。役員退職慰労金については、機関投資家はほぼ反対の方向が出ている。機関投資家は株主総会での議決権行使については、「スチュワードシップ責任」を果たすことが求められる。個別に賛否を開示する方向もはっきりしている。機関投資家も真剣勝負だ。企業にとって、総会屋対策としての株主総会対策は遺物となり、企業統治のあり方そのものが株主総会対策となるのだろう。だから、総会直前の付け焼刃では対策にならないことを自覚している企業は、前年の総会直後から、機関投資家との会話を始めるところもあるようだ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.02.20
奈良 正哉
認知症でも証券投資
認知症になっても、親族が代理人になって証券投資(新規購入)が続けられるようにするそうだ(2月20日…
-
2025.02.18
奈良 正哉
遺産国庫帰属10年で3倍
相続する人がいなくて、結局国庫に帰属した遺産は10年間で3倍、1,000億円超になったそうだ(2月…
-
2025.01.30
奈良 正哉
身元保証
独居高齢者が増加するにつれ「身元保証」が問題になっている(1月8日日経)。身元保証人は病院や施設に…
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…
奈良 正哉のコラム
-
2025.06.12
奈良 正哉
自社株買い最高潮
自社株買いが過去最高になっている(6月12日日経)。IRやSRの場面では、自社株買いをするのが当然…
-
2025.06.11
奈良 正哉
TACOでもTACOでなくても
中国に進出している米企業(大手から中小まで)対象にアンケートが実施された。これによると、対中関税が…
-
2025.06.06
奈良 正哉
TACOディール
一連のトランプ関税政策?は、TACOディールと呼ばれて揶揄されている。いつもビビッて尻すぼみ、とい…
-
2025.06.05
奈良 正哉
少子化・高齢化・人口減
日本の出生数は過去最低の70万人割れとなった。少子化・高齢化の傾向は日本だけでなく世界中で顕著だ。…