ゴーン特別背任立証は難しいのか
ゴーンについては、本丸とされる特別背任での逮捕勾留がされた。報道など読むと、有価証券報告書虚偽記載より、特別背任の方が立証のハードルが高いとの評価が目立つ。かつてバブル崩壊から金融危機に向かう過程で、北海道拓殖銀行の頭取が同罪に問われたが、1審と2審で判断が分かれたことが例として引かれる。ただ、同行の事件の場合、問題になった行為は倒産しかけている企業への融資の是非という、同行の本来業務についてであったが、今回の事件はゴーンの個人取引の尻拭いというもので、全く性質が異なる。銀行の無理な融資が、取引先を倒産させないという銀行の利益のためなのか、倒産させることによって問われる頭取個人の防御の利益なのかは、確かに判断が難しい。ただ、ゴーンの事件は、個人の利益と日産の利益は相反しており、個人の利益=日産の損失である構図ははっきりしている。だからこそ利益相反取引として、日産の取締役会の承認が必要とされた。この事件で特別背任を問えないとすると、何のための条文なのかという疑問を持つ人も多いのではないか。特捜がこの事件の立証ができないようだと存在意義が問われそうだ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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