社外取締役の犯罪
東証は6月1日に「企業統治指針」を改定して、社外取締役の数とバリエーション(女性や外国人)の充実を提唱している。その前々日、株式会社スミダコーポレーションの元社外取締役がインサイダー容疑で逮捕されたとの記事が掲載された。もちろん東証が指針の中で求めるのは形式であって、立派な社外取締役の選任という実質を求めるものではない。社外役員の選任は難しい。社長の旧知の友人を選任すれば長年の付き合いがあるので、信認に足る人物か否かは問題にならないと思われる。ただ、そういう人は社長の社外応援団になってしまうリスクがある。他方で、経験や知見に偏って選考して、人物の倫理観まで審査するすべに欠けると、今回のようなことになってしまう。記事では、社外取締役に対する法令研修の必要性に言及していたが、社外取締役になろうかという人にいまさら研修でもないだろう。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.01.10
奈良 正哉
トヨタROE20%
トヨタはROE20%を目標とすると発表した(2024年12月28日日経)。一足早いお年玉だったろう…
-
2025.01.08
奈良 正哉
賃上げ継続
経済3団体の幹部はそろって5%以上の継続的賃上げの意向やその必要性を強調していた。5%なら十分に実…
-
2024.12.26
奈良 正哉
スタートアップに中高年転職
スタートアップに転職する中高年が増加している。20代、30代を押さえて、40代以上は2022年に比…
-
2024.12.20
奈良 正哉
ホンダ日産経営統合
ホンダと日産は経営統合する方向だ。事実上ホンダによる日産の救済だろう。 日産は、スカイラインやフ…
奈良 正哉のコラム
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…
-
2025.01.16
奈良 正哉
やっかいな隣国大混乱
やっかいな隣国の政治的混乱はその度合いを増して大混乱になってきた。 わからないのは、一般の警察と…
-
2025.01.15
奈良 正哉
経営コンサルタント倒産最多
経営コンサルタント会社の2024年の倒産件数が、集計以来最高になった(1月10日東京商工リサーチ)…
-
2025.01.14
奈良 正哉
中国長期金利下落・日中逆転
中国長期国債の利回りが引き続き低下している。2024年12月3日の日経の小さな記事に、30年債の利…