社外取締役の犯罪
東証は6月1日に「企業統治指針」を改定して、社外取締役の数とバリエーション(女性や外国人)の充実を提唱している。その前々日、株式会社スミダコーポレーションの元社外取締役がインサイダー容疑で逮捕されたとの記事が掲載された。もちろん東証が指針の中で求めるのは形式であって、立派な社外取締役の選任という実質を求めるものではない。社外役員の選任は難しい。社長の旧知の友人を選任すれば長年の付き合いがあるので、信認に足る人物か否かは問題にならないと思われる。ただ、そういう人は社長の社外応援団になってしまうリスクがある。他方で、経験や知見に偏って選考して、人物の倫理観まで審査するすべに欠けると、今回のようなことになってしまう。記事では、社外取締役に対する法令研修の必要性に言及していたが、社外取締役になろうかという人にいまさら研修でもないだろう。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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