民事信託の信託財産 11
信託銀行が個人に提供する信託商品は、信託財産としてはほぼ金銭しか受け入れていない。そして事実上銀行内の内部振替によって、無リスクしたがってほぼゼロリターンの運用をしている。これはある意味仕方がないことだ。信託商品の性格上元本保証が求められるものについて、リスクのある積極的な運用はできないからだ。このことは、民事信託についてもあてはまる。しかし、企業年金にせよ公的年金にせよ、老後の生活資金というリスクを嫌う性格ではあるが、株価や為替等のリスクを積極的に取って運用されている。これは、信託期間が長いからリスク許容性があると判断されているからだ。とすれば、商事信託においても民事信託おいても、信託期間が長期に渡ることが予測されるものについては、投資信託のようなリスク商品による運用を考えてよいと思われる。その際の適合性判断は、受託者を基準についてなされ、受益者については信託資産の使い道として考慮されることになると思われる。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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