民事信託の信託財産 2
アメリカの相続指南本では、遺言とならび信託は重要な道具立てとして登場する。その信託では、あらゆるものを信託財産とするような記述が多いようだ。つまり、自動車や飛行機など登録制度があるものはもちろん、骨董や美術品など高価なものを初め、日常使いそうな宝石や家具などの動産をも含めてリストが例示されている。プロベートと呼ばれる裁判所による相続手続き回避のため、なるべく多くの資産を信託しようということなのであろう。他方日本ではプロベートと呼ばれる手続きはないので、その点から「なんでも信託」との動機はない。むしろ動産などを信託財産に含めた場合、分別管理義務の要請から対抗要件具備を含めてその処理に困ることも予想される。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2024.09.03
奈良 正哉
戸籍謄本の電子取得
戸籍謄本が電子手続きで取得できるようになるようだ(8月22日日経)。戸籍制度は日本とその影響下にあ…
-
2024.07.31
奈良 正哉
超高級老人ホーム
三井不動産は、入居金最高額5億円を超える超高級老人ホームを運営する(7月30日日経)。「問い合わせ…
-
2024.07.29
奈良 正哉
減らない高齢者の金融資産
高齢者の金融資産は60-65歳の平均で1,800万円。これが85歳でもその減少幅は1割台だそうだ(…
-
2024.06.10
奈良 正哉
おひとり様の死後事務
おひとり様の死後事務委任のニーズが高まっている(5月25日日経参照)。すでにおひとり様はもちろん、…
奈良 正哉のコラム
-
2024.09.11
奈良 正哉
中国地方政府は罰金で食う
中国地方政府は不動産不況で税収不足に悩んでいる。これを補填するため罰金に目を付けた。交通法規違反は…
-
2024.09.10
奈良 正哉
株式報酬の拡大
株式報酬を役員から従業員にまで拡大する動きが加速している(9月10日日経)。従業員の経営参加意識の…
-
2024.09.09
奈良 正哉
ネット銀行口座4,000万
楽天など主要ネット銀行の口座数が合計で4,000万となり、メガバンク合計の半分となった。半面、信用…
-
2024.09.06
奈良 正哉
伊藤忠年収引上げ1割
伊藤忠が年収を大幅に引き上げる。課長で3,620万円になるケースもあるそうだ(9月6日日経)。ちな…