民事信託の信託財産 2
アメリカの相続指南本では、遺言とならび信託は重要な道具立てとして登場する。その信託では、あらゆるものを信託財産とするような記述が多いようだ。つまり、自動車や飛行機など登録制度があるものはもちろん、骨董や美術品など高価なものを初め、日常使いそうな宝石や家具などの動産をも含めてリストが例示されている。プロベートと呼ばれる裁判所による相続手続き回避のため、なるべく多くの資産を信託しようということなのであろう。他方日本ではプロベートと呼ばれる手続きはないので、その点から「なんでも信託」との動機はない。むしろ動産などを信託財産に含めた場合、分別管理義務の要請から対抗要件具備を含めてその処理に困ることも予想される。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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