民事信託の信託財産 2
アメリカの相続指南本では、遺言とならび信託は重要な道具立てとして登場する。その信託では、あらゆるものを信託財産とするような記述が多いようだ。つまり、自動車や飛行機など登録制度があるものはもちろん、骨董や美術品など高価なものを初め、日常使いそうな宝石や家具などの動産をも含めてリストが例示されている。プロベートと呼ばれる裁判所による相続手続き回避のため、なるべく多くの資産を信託しようということなのであろう。他方日本ではプロベートと呼ばれる手続きはないので、その点から「なんでも信託」との動機はない。むしろ動産などを信託財産に含めた場合、分別管理義務の要請から対抗要件具備を含めてその処理に困ることも予想される。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.02.20
奈良 正哉
認知症でも証券投資
認知症になっても、親族が代理人になって証券投資(新規購入)が続けられるようにするそうだ(2月20日…
-
2025.02.18
奈良 正哉
遺産国庫帰属10年で3倍
相続する人がいなくて、結局国庫に帰属した遺産は10年間で3倍、1,000億円超になったそうだ(2月…
-
2025.01.30
奈良 正哉
身元保証
独居高齢者が増加するにつれ「身元保証」が問題になっている(1月8日日経)。身元保証人は病院や施設に…
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…
奈良 正哉のコラム
-
2025.05.16
奈良 正哉
証券口座乗っ取り
証券口座の乗っ取りとそれに対する証券会社の対応が話題になっている。 ニュースによれば、証券口座の…
-
2025.05.15
奈良 正哉
無償化+公立併願
高校の無償化と公立高校の併願の合わせ技はどういう効果を生むのだろう。有力私立の多い都市部では、私立…
-
2025.05.14
奈良 正哉
女性が消える町
人事採用を男女で区別しないと、女性のほうが実力・能力が上なので必然的に女性ばかり採用しかねないとい…
-
2025.05.13
奈良 正哉
文化大革命+大躍進政策 in America
米中関税戦争は第1幕で早くも休戦となった。殴りつけたアメリカが「このくらいで許してやる」と宣言して…