民事信託の信託財産 2
アメリカの相続指南本では、遺言とならび信託は重要な道具立てとして登場する。その信託では、あらゆるものを信託財産とするような記述が多いようだ。つまり、自動車や飛行機など登録制度があるものはもちろん、骨董や美術品など高価なものを初め、日常使いそうな宝石や家具などの動産をも含めてリストが例示されている。プロベートと呼ばれる裁判所による相続手続き回避のため、なるべく多くの資産を信託しようということなのであろう。他方日本ではプロベートと呼ばれる手続きはないので、その点から「なんでも信託」との動機はない。むしろ動産などを信託財産に含めた場合、分別管理義務の要請から対抗要件具備を含めてその処理に困ることも予想される。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.11.17
奈良 正哉
城北信金信託免許
城北信金は信用金庫では初となる信託業務の認可を受ける(11月13日日経)。併せて遺言業務など付随業…
-
2025.08.25
奈良 正哉
合併よりSBI
SBIによる中小地銀への出資が再開した。フジテレビへの北尾氏の役員就任可能性がなくなったからだろう…
-
2025.07.17
奈良 正哉
本音の身の丈ガバナンス
私のコラム群のうちガバナンスに関するものを編集して、SNSのnote の創作大賞2025ビジネス部…
-
2025.07.09
人手不足倒産
人手不足を主因とする倒産が増加している(7月9日日経)。人手不足倒産企業が、キャッシュフロー不足で…
奈良 正哉のコラム
-
2025.12.05
奈良 正哉
議員定数削減
議員定数削減は有権者の受けはいい。一方、歳出削減効果はほぼない。削減自体に反対はしない。思うところ…
-
2025.12.04
奈良 正哉
いつまで伊東市長・前橋市長
いまも伊東市長と前橋市長の動向が報道されている。バッシング目的だ。両市の住民でない大多数の国民には…
-
2025.12.03
奈良 正哉
中国経済悲観証拠
中国の日本に対する嫌がらせは尻すぼみになってきた。背景には中国経済の顕著な悪化があるだろう。日経に…
-
2025.12.01
奈良 正哉
当番弁護士登録者減少
刑事事件の弁護にあたる当番弁護という制度がある。そのまま国選弁護に流れるケースがほとんどだ。この「…