民事信託の信託口座
今でも民事信託組成において、受託者の信託口座を銀行に開設することが難しいと聞く。信託は財産管理であり、財産管理には必ずお金の出し入れが付随するから、受託者の信託口座を受託者の居住地の近隣銀行支店に開設できないのは、受託者の受託事務履行に支障をきたすことは間違いない。他方で、銀行にとっては口座開設の直接のメリットは少ない。むしろ管理の手間とリスクが増えるだけとの見方もあろう。すなわち、銀行は、受託者個人の口座と受託者としての口座を分別管理(口座番号や顧客コードを分ける)しなければならないとか、万一の受託者個人への差し押さえに対して、間違いのない対応をしなければならないとかの手間とリスクを負うことになる。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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