民事信託における委託者の契約能力
現在組成されている民事信託は高齢者保護を目的としたものが多い。だからもちろん委託者は高齢者である。民事信託と同じような機能を持つ従来型の仕組みとして遺言がある。遺言も高齢者によって作成されることがほとんどである。高齢者は理解力や判断力が下降線にある。その遺言者が亡くなったあと、遺言者が本当に内容を理解して、自身の判断に基づいて遺言をしたのか(遺言能力)が争われる裁判はたくさんある。民事信託はまだ実質的な歴史は浅い。しかし遺言よりもずっと複雑で条文数も多い民事信託を、高齢委託者が理解し判断して契約したのか、争われる例は今後相当数出てくるかもしれない。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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