民事信託における委託者の所有権 2
典型的な民事信託の構図は、高齢資産家が委託者になり、その親族(例えば息子)が受託者になる、最初の受益者は委託者と同一人物である高齢資産家がなる、というものである。これにより、高齢資産家の資産が悪徳業者に騙し取られるのを防止できる。なぜ騙し取られるのを防止できるのかといったら、信託譲渡により、財産の所有権はすでに高齢資産家にはなく、その息子に移っているからである。所有権のない人を騙しても財産は取れない。当然登記の移転もできない。委託者にとって所有権を失うという抵抗感のある手続きを踏むから、財産の保全が万全になるといえる。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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