教育資金贈与信託

 最近の信託銀行の提供するヒット商品が、教育資金贈与信託である。祖父母が孫(実質的にはその親)に贈与をすると、教育資金に支出される限り孫1人当たり1500万円まで贈与税がかからないというものである。いわゆる他益信託であって、いったん設定したら信託金は孫に贈与されており、もはや祖父母のお金ではなくなっている。だからこそ贈与税が問題になる。しかし、先日ある高齢者の会合に行ったらそのような意識なく、預金と同じ感覚で信託金はまだ自分の金であり、老後の金に不自由する事態になったら、引き出しできると思っている利用者が結構いることに驚いた。預金に類似すればするほど信託であるとの説明は重要であり一方で難しいのかもしれない。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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奈良 正哉

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