会社法QA(平成26年改正後版) 第10回 取締役の人数

【解説】
1 原則
 会社法は、株式会社について、原則として、取締役の員数は1人で足りることとし、取締役会を設置しないことも許容しています(会社法326条)。
 株式会社では,取締役は当然に設置さされる機関であり,取締役1人又は2人以上を置くこととなっています。一方,合同会社には,取締役は存在しません。
 また,特例有限会社(会社関係法整備法2条以下)も,株式会社と同様,取締役の員数は1人で足ります。

2 取締役会の設置
 このように、取締役の員数は一人でもよく、取締役会の設置は任意ですが、公開会社(会社法2条5号,定款で株式譲渡制限を定めていない会社)では取締役会の設置が義務づけられ、取締役会の設置が強制されています(会社法327条1項1号)。
 なぜなら、定款の株式譲渡制限の定めにより,株主が会社の承認する者に限られない公開会社では、株主は自ら経営に参画する意思を有しないことも多く、株主(株主総会)に代わって取締役会によって取締役の職務執行をコントロールする仕組みが適切と考えられるからです。

【質問】
 当社はいわゆる公開会社ですが、会社意思決定の迅速化のため、取締役の人数を削減することを検討しています。会社法では取締役を1人とすることもできると聞いたのですが、当社は取締役を何人にまで削減することができるでしょうか。
【選択肢】
[1] 3人
[2] 2人
[3] 1人

【正解】  [1]

【解説】
 会社法では、取締役会を設置した会社においては、取締役は3人以上必要となります(会社法331条5項)。また、既にご説明したとおり、公開会社では取締役会の設置が義務づけられ、取締役会の設置が強制されています(会社法327条1項1号)。従って、公開会社では常に取締役は3人以上必要となります。取締役の員数が1人でも足りるのは、株式譲渡制限会社のうち取締役会を設置しない会社のみです。
 従って正解は[1]です。

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