意外に知らない「得する法人税」 社長、優遇税制を活用して資金繰りを楽にしましょう!

意外に知らない「得する法人税」
社長、優遇税制を活用して資金繰りを楽にしましょう!

1 はじめに

 「税金」、その言葉を耳にするだけで尻込みする企業経営者は少なくありません。

 理由を伺ってみると、

 (1)とにかく税法は難しい

 (2)計算が大変で面倒くさい

 (3)取られるばかりで頭にくるから考えたくない

 これが上位のご回答でした。

 たしかに税法は、法人税や所得税、相続税といった国税から、住民税や事業税、固定資産税などの地方税まで、それこそおよそ「経済取引」に係るものについては「税金」が掛からないものは皆無といって差支えないほどたくさんあります。

 その上に、とにかく細かいのです。税法が難しいと言われる大きな理由の一つに、「カッコの中にカッコがある」ということがあります。百聞は一見に如かずです、実際に見てみましょう。

 平成13年の税制改正で、企業組織再編成に係る税制が導入されましたが、このうちの一つ、「適格合併」の定義規定を見てみましょう(法人税法2条12の8)。

 次のように書かれています。

「次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人株式(合併法人の株式又は出資をいう。)又は合併親法人株式(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人の株式又は出資をいう。)のいずれか一方の株式又は出資以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当等(株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配をいう。)として交付される金銭その他の資産及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。」

 一読してお分かりになりますか?私は最初にこの条文を読んだときすぐには理解できませんでした。何故かというと、カッコが邪魔するからです。カッコの中にカッコがあるので、それを追っかけているうちに前の文章を忘れてしまうのです。

 この条文、実はカッコを取り外すとこんなにシンプルなのです。

「次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式又は出資以外の資産が交付されないものをいう。」

 これでしたら、おおむね「適格合併」というのが何であるかお分かりになりますよね。

 カッコを外す前の文字数は「267文字」。そしてカッコを外した文字数はなんと「71文字」なのです!つまり「196文字」がカッコの中に書かれていたことになりますから、実に73%もの文字がカッコ内にあったということになります。

 これは少し極端な例かもしれませんが、カッコの中にカッコはありますし、あっちこっちから条文が飛んできますから本当にやっかいな法律だと思います。

 でも、「税金」というのはまさに「お金」です。一部の例外はありますが、税金は「現金納付」が原則ですから、企業の資金繰りに直結します。

 「もし税金を少しでも減らすことが出来たら資金繰りも楽になるのになぁ」と思っている企業経営者はそれこそ星の数ほどいるはずだと私は思っています。

 そこで、「難しい条文を読んで自社にとって得になりそうな税法を探す」のでは意味がありませんので、「そういえば、こんなお得な税法があったなぁ」と思い出していただいて、「自社に使えないか専門家に相談してみよう」と思っていただけるようなものがあれば、お役に立てるのではないかと考えた次第です。

 

2.「得する法人税」の目次

 先にも述べたとおり、日本の税法には色々な種類がありますが、これらの多くには「原則」に対する「例外」とでもいうべき法律があります。この例外を「租税特別措置法」といいます。

 この法律は個別税法の規定に対する特例の性質を持っていて、その中身は、「税負担の軽減を内容とする租税優遇措置」と「税負担を重くする租税重課措置」の2つです。

 この租税優遇措置が、「得する法人税」、つまり「宝の山」なのです。

 そこで、何とかこれを企業経営者の方に活用してもらえないだろうか、と考え、「得する法人税」の目次を作ってみようと思うに至りました。

 とはいっても、難しい法律の条文を抜き出して書いてみたところで、「なんだ、結局面倒くさい」と思われてしまっては目的が達成できませんから、サワリのサワリ、つまり「こういう得する税金がありますよ。もしかしたら御社も活用することが出来るかもしれません。」ということを「1項目あたり15分で知っていただく」ことを目標にこのシリーズを始めさせていただきます。

 近日中に【意外に知らない「得する法人税」-その1-】をアップする予定です!

税務部:高田 貴史

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