今週の名言 第6回 2004.04.16
Thursday, April 16, 2004
「日本にとっての最大の危機は、外国の脅威でもなんでもない。日本人が日本に自信をなくし、外国のシステムに同調することで自らを救おうとしていることこそが、最大の危機なのではないかと思えてならない。」
この言葉の主は、マハティール・マレーシア前首相である(同氏著「日本人よ。成功の原点に戻れ」PHP研究所刊)。バブル崩壊後、「失われた10年」といわれ続けてきたが、確かに、日本人は日本自体に自信を失ったが観がある。改革は将来の安心のためにするのに、現状に拘泥しすぎた小役人的発想の改革であるために、国民の多くは、かえって将来に不安を持った内容となっているのが年金改革案である。これでは、将来に不安を残す結果となり、日本人は自信を失うしかない。
いつの時代でも将来は未知であり、不確定要素に満ち満ちている。そのために、将来に対しては期待と不安とを併せ持つのが通常人である。積極的な人間は将来に対する期待の程度が少し高い人であり、消極人間は将来に対する不安の程度が少し高い人であるにすぎない。現在の日本では、将来に対する不安の程度の高い人が多い状態である。
しかし、日本の歴史を顧みれば、日本人は社会を改革して社会・経済・文化を進歩させてきた。この日本民族の優秀性は、歴史の証明するところであり、現在の日本人にもその優秀性は遺伝子に組み込まれている。そう考えると、現状を改革し、将来の日本に明るい期待・希望を持てるようにすることは十分可能である。
将来の姿が不確定的であっても、この日本人の優秀性を信頼し、まず、日本の将来は大丈夫であるという確信に満ちた自信を持つことが大切である。信仰が、まず、信じることから始まるように、まず、日本や日本人を信じることから始めなければならない。信仰がこころに花を咲かせるように、将来に関する知恵という花は、このような自信から生まれるのである。
マハティール前首相の言葉は、日本人が自信を取り戻し、冷静に過去の成功の原点に戻れば、日本の明るい将来が見えてくるというありがたい忠告である。日本で成功したシステムは、日本社会に適している面があることは確かであるから、日本的システムに日本の成功の原点があるとの指摘は正しい。
その意味では、日本的システムを冷静に検証し、現在に生かすべきものとそうでないものを振り分けることが必要である。反対に、外国のシステムでも現在の日本に適しているものとそうでないものもあるから、この振り分けも必要である。いずれにしても、大切なのは、システム自体でなく、そのシステムを作り、利用する我々の方が自信を持った上で、冷静に振り分けをするという主体性を持つことである。主体性は自信の上に成り立つものだからである。
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