今週の名言 第7回 2004.04.30
Thursday, April 30, 2004
「成果のよくない企業を見ていると経営トップの軸が金であり、したがって、その企業の提供する製品・サービスがどのように顧客から評価されているかについて本当の意味では経営トップが関心を持っていない」
この言葉は、新原浩明著「日本の優秀企業研究」日本経済新聞社刊にある。
会社は社会的存在であるから、社会から存在価値を認められない限り、存続も発展もできないことは明らかである。会社の存在価値は、その会社の提供する製品・サービスを利用する顧客が決める。したがって、会社の将来を決定づけるのは顧客であるから、会社の将来の存続・発展の負託を受けている経営トップが関心を持つべき最大の存在は顧客である。
その経営トップが、会社の利益ばかりを重視し、顧客に関心を持たないとすれば、その企業にとっては、その経営トップの存在自体が「ここにある危機」である。会社の経営において会社の利益が重要であることは誰も疑わない。しかし、会社の利益という金を会社の最終の目的とする会社は、長期的に見れば優秀企業とはなりえない。社会はそのような企業を長期的には正しく評価して、売り上げに貢献しなくなるからである。
長期的視点で顧客から信頼され、社会そのものである顧客から信頼と支持を与えられることで、会社は存続の可能性を与えられ、成長を支援されると考えるべきであろう。つまりは、会社の目的は社会である顧客の信頼による存続とそのための成長であり、その手段として重要なのが経営資源としての金である。このような目的と手段との関係を正しく捉えることが経営トップの役割である。
最近のコーポレート・ガバナンス論で、会社は誰のものかの議論をする場合に、株主がガバナンスの主体であることを当然視し、その文脈で、株主利益の最大化=会社の目的は利益重視という流れとなりやすい傾向がある。今週の名言は、本当の優秀会社は必ずしもそうではないことを指摘している。私もその点は同感である。社会的存在であるという素朴な出発点を忘れてはならないのである。
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