税務訴訟 税務訴訟の基礎実務 (1)
税務訴訟の基礎実務 (1)
今回から税務あるいは税務訴訟に関する実務上の基本的知識を提供したい。
税務訴訟についての実務知識として是非に知っていただきたい第一のものは、不服申立期間の制限についてである。更正処分に不服ある場合は、その処分のあったことを知った日(通知書の到達日)の翌日から2ヶ月以内に、異議申立て、又は、例外的に審査請求をしなければならない点である。この2ヶ月という期間制限を知っておいていただきたい。この期間内であれば、更正処分に内容的又は手続的に違法なものがあれば、更正処分の取消を得られる可能性がある。可能性という表現は、確実と異なるから納税者側からみて寂しい限りである。しかし、更正処分の理由の差し替えが認められる場合があるから、更正処分に違法があっても常に取消が得られるとはいえないのである。
これに反し、2ヶ月という期間内に更正処分に対し不服申立てをしておかないと、いかに誤まっている更正処分であっても、それに従う他なくなる。つまり、更正処分の取消しは著しく困難となる。ただ、例外的に、更正処分に「重大かつ明白」な違法があった場合には、その更正処分は「無効」となる。しかし、上記の「重大かつ明白」の要件は、実務的には、かなり厳しく運用されている。したがって、更正処分の取消し訴訟で勝訴できる場合でも、2ヶ月の期間制限を超えた場合には、更正処分の無効と認められないことが多いといえる。裁判所が「重大かつ明白」の要件を厳しく運用するのは、期間制限内で不服申立てをせず、課税庁側の証拠資料の少なくなった時期に更正処分の無効確認をしてくるのは、怪しげな事だと考えているからと思われる。
いずれにしても、更正処分を受けたときは、2ヶ月間という期間しか与えられていないと考えて、真剣に不服申立てをすべきか否かを検討しておかなければならない。それがなかったばかりに後悔している人がいるのも事実である。
(文責 鳥飼重和)
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