平成13年商法改正 新しい価値観
最近の報道によれば、来年の商法大改正の中で、取締役会が一定の条件を整えると、監査役制度を廃止することを選択できるというのがある。選択であるから、従来どおり監査役を置いてもよいし、置かなくてもよいことになる。
アメリカの取締役会制度のようにするには、日本企業の経営者は抵抗感があるから、商法改正があっても監査役を置くことになると予想できる。
しかし、今後の日本が資本市場を中心とした資本の論理に忠実になることから、従来どおりの選択を自由にできるかは不明である。たとえば、アメリカ型の取締役だけにした企業が格付けが上がるとか株価上昇要因となる場合には、経営者は従来どおりとばかりはいえなくなるかもしれない。
そうすると、法文は選択であるが、実質上強制に近いものにならないとも限らない。その意味では、市場の動き如何が制度の採用を規定する社会になりつつあるともいえる。したがって、商法改正にあたっては、市場原理をも考慮に入れる必要があるともいえよう。
いずれにしても、今後の会社法務は、市場社会という新しい局面を重視した対応が要求されるのは明らかである。そのため、会社法務における従来の価値観の転換を迫られている。
(文責 弁護士 鳥飼重和)
| 投稿者等 | |
|---|---|
| 業務分野 |
関連するコラム
-
2025.12.25
奈良 正哉
副業不動産の売却
サッポロビールはアクティビストに迫られて、恵比寿ガーデンプレイスなど不動産事業をファンドに売却する…
-
2025.12.16
奈良 正哉
JPX内部通報制度審査
JPXは、新規上場に際して内部通報制度の整備状況を審査する(12月12日日経)。オルツの不正会計が…
-
2025.12.11
奈良 正哉
NHK新会長
NHK新会長は内部昇格となった。改革には内部をよく知る人が適任とされた。しかし、一方では、外部のな…
-
2025.11.26
奈良 正哉
大企業社長の報酬低すぎないか
売上高1兆円超の企業57社(調査回答)の社長の報酬の中央値は1.2億円だそうだ(10月21日日経)…
鳥飼 重和のコラム
-
2018.08.22
鳥飼 重和
褒めることの効用とそれをビジネスに活用できるか?
褒めると女性が美しくなる、これは、科学で証明されています。 褒めるのに効用があるため、…
-
2018.08.07
鳥飼 重和
全ての事態の羅針盤となる考え方を用意する、が正解
三原山の大爆発があったら、最優先に考えるべきは、人命の危険です。次に、適切な回避策を考える、これが人…
-
2018.08.06
鳥飼 重和
ルールと人命、どちらが重要でしょうか?
答えは、簡単だと思われるでしょう。そりゃ、人命の方がルールよりも重要だよ、となるでしょう…
-
2018.08.02
鳥飼 重和
一休さんの遺言で困難を乗り越えた その原因は?
なぜ、一休さんの遺言で、弟子たちは困難を乗り越えられたのでしょうか? その根っこに、人間は、どん…