平成13年株主総会 株主総会と商法改正
平成13年から平成14年にかけての商法の改正は株主総会に関しても大きな変化をもたらすものである。株主総会も会社の機関の一つであるから、取締役会等の他の機関に大きな改革があるときには、株主総会も大きな変革を伴うのは明らかである。
今回の商法改正は機関の改正、株式の改正、取締役等の責任制限の改正、株主代表訴訟の改正、計算・開示の改正等広範囲にわたっている。その中で、株主総会との関連で見てみると、総会権限が縮小するものと拡大するものとが相半ばする。
この権限の縮小・拡大を取締役会との関係で捉えると日本のコーポレートガバナンスの現状が良く分かる。取締役会をガバナンスの中心とし、経営者に対するモニタリング機能もそれで十分できると考えた場合は、株主総会権限は最小限度にしても不都合はない。経営者に経営権のほとんどを集中しても、取締役会による経営者へのモニタリングができていれば、改めて株主総会がモニタリングする必要はないからである。
これに対して、取締役会・監査役によるモニタリングが十分できていないときには、経営者へ経営権のほとんどを集中することは危険である。むしろ、会社にとって、株主にとってもっとも重要な事項は株主総会でモニタリングする必要がある。
今回の商法改正では、株主総会の決議を要求するものが多い。それは日本における取締役会・監査役によるガバナンスの現状が不十分である事を前提としているからかもしれない。このようにガバナンスが十分でないと、企業経営におけるスピードが遅くなる。株主総会は機動的に開けないからである。
したがって、日本企業が経営スピードを確保するには、ほとんどの経営事項を取締役会等の経営体に集中できるようにする必要があり、そのためには、現実の運用の面で取締役会等によるガバナンスの確立が必要である。
(文責 鳥飼重和)
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