オルツ不正会計、弱小監査法人の限界

 「オルツ不正会計の波紋」として日経に連続記事が掲載されていた。直接帰責させているわけではないが、弱小監査法人の監査能力の限界に触れている。いまやITはおろかAIの時代になっている。監査などはもっともそれに適した業務だ。大手は前からITに力を入れていて、ITなくしては監査なしという状態であるとも聞く。他方、弱小監査法人では大規模なIT投資(ソフトも人も)をすることは不可能であろう。

 大手であれば、ITによって全件監査が短時間でできるところ、弱小ではサンプル調査がやっとだろう。大手ではAIなどによって怪しい取引を機械的に抽出することができるが、弱小では無理だろう。

 なんで大手から分派することにより弱小監査法人が次々と生まれていくのかはわからない。金融庁も公認会計士協会も、規模基準や装備基準で監査可能企業の線引きをした方がいいのではないだろうか。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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