2024年問題②~建設業のDX化~

1 はじめに

前回(※1)は、建設業界における各企業における取組みについて、取り上げました。2024年問題への対応策としては業務の効率化・施工効率化をいかに図るかが重要であると言及しましたが、決して簡単な話ではないというところが正直なところです。そこで、今回は、「建設現場のDX化」の具体例を取り上げることにより、業務の効率化・施工効率化を図る糸口を探っていくこととします。

2 具体例

(1)施工管理アプリなどの導入

施工管理アプリとは、建設現場において、図面や作業工程表作成、報告といった施工管理の業務内容を共有し情報の一元化を図るものです。このようなツールの導入により、日々変化していく現場の状況をアプリで共有・管理することが可能となるため、従来の情報共有にかかる時間の削減や連絡・報告のし忘れといったミスを防ぐことにも繋がります。施工管理アプリは、業種ごとのものや無料のものもあり、幅広い選択肢があります。

(2)遠隔臨場を可能とする

遠隔臨場とは、動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)によって取得した映像及び音声を利用し、遠隔地からWEB会議システム等を介して「段階確認」、「材料確認」と「立会」を行うことをいいます(※2)。この遠隔臨場を行うことにより、わざわざ現地に行く必要がなくなり、移動時間などの短縮や1人の人間が見ることができる現場の数を増やすことにも繋がります。遠隔臨場に用いるウェアラブルカメラは、持ち歩きながら撮影や録画、通話ができるものや現場に置くだけで、スマートフォンで初期設定をして使用できるものもあります。また、単に現場を遠隔地から見るというだけにとどまらず、遠隔地にいる専門的知識を持ったオペレーターが、リアルタイムで現場の映像を確認し、あたかも現場に専門的知識を持ったオペレーターがいるかのような指示をだすといった付加価値をつけることが可能なものもあります(※3)。

(3)現場作業ロボットの導入

清水建設で導入された溶接ロボ「Rоbо‐Welder」は、人の腕のように動くアームの装備及びAIが解析した適切な溶接の手順の判断によって、高度な技術を要する溶接作業を可能としました。このロボの導入により、現場で500人程度の省人化ができるとのことです(※4)。また、日々の現場で負担となっている清掃業務を担ってくれるロボットもあります(※5)。

3 まとめ

今回取り上げた建設現場のDX化の例は、導入しただけで終わりというわけではなく、実際に現場で運用ができているかという点が重要になります。そういった運用の面を確認する際には、業務の効率化・施工効率化を図られているかといった面のみに注目するだけではなく、新しい取組みにより、従業員にとってプラスとなっているか、提供する業務に付加価値が付けることができているかなど、前向きな面も併せて検討するとより良い業務改善に繋がると言えるでしょう。

以上

引用:

※1https://www.torikai.gr.jp/columns/detail/post-28095/

※2https://www.mlit.go.jp/tec/content/001594449.pdf

※3https://www.optim.co.jp/news-detail/15985

※4https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ179SL0X10C21A2000000/

※5https://www.daiwahouse.co.jp/about/release/house/20220728190754.html

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