「ChatGPT」とは?~今後の士業とAIの関係~
1.そもそもChat GPTとは?
皆さんは、「Chat GPT」という言葉を見聞きしたことがあるでしょうか。「Chat GPT(チャットジーピーティー)」とは、OpenAI社の提供する人工知能を用いたチャットボットです。具体的には、LINE、ショートメールのような会話の形式で質問をすることができ、それに対する回答も会話形式でなされます。Chat GPTは、実際の会話を重ねることでデータを蓄積し、単に質問に回答するだけではなく、翻訳、キャッチフレーズや文章を作成するといったクリエイティブな作業をすることができます。実際、パナソニックホールディングス傘下でシステム開発を行っているパナソニックコネクトでは、書類作成業務などにChat GPTのような対話AIを活用して、業務の効率化を図るという動きも出てきています(※1)。
2.AIと士業との関係
このように対話AIは、人間同士の会話に近い形で質問に回答することができるため、士業の相談においても活用が見込まれます。ですが、士業における相談といった専門的な分野において、AIによる回答に法的な問題は生じないのでしょうか。このような点を検討する手がかりとして、契約書のAI審査サービスが弁護士法72条本文に反しないかについて、グレーゾーン解消制度による照会を受けた際の法務省の回答があります(※2)。契約書のAI審査とは、作成した契約書の内容につきAIが条項で不足しているものがあるかなどを審査するというものであり、多数の会社がそのようなサービスを提供しています。法務省の回答としては、契約書のAI審査サービスについては、弁護士以外が法律事務を取り扱うことを禁じている弁護士法72条本文に違反すると評価される可能性があることを否定することができないというものでした。このような回答は、既存の事業者及びサービスの利用企業に、契約書のAI審査を行うことが違法となる場合があるとして、混乱が生じました。
【今後注目すべき動き】
このような混乱を解消するために、法務省は今年の春頃をめどに、契約書のAI審査サービスが適法と評価される具体事例を盛り込んだ指針を策定する予定です。指針には、既存の事業者に配慮した内容が盛り込まれることが予想されます。今後の士業においては、AIを活用して業務の効率化を図ることができるか、その一方でAIが提供するサービスとどう差別化をしていくかという点が重要になってくるでしょう。その際に、Chat GPTなど最新の動向を知らずして適切な判断は難しく、指針などの動向も併せてアンテナを張り続けていく必要があると言えるでしょう。
以上
引用:
※1 2023年3月9日付日本経済新聞 朝刊
※2 https://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/housei10_00134.html
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