中小監査法人に対する行政処分
中小監査法人に対する行政処分(業務停止・改善)が相次いでいる(4月6日日経)。そもそも、小規模の監査法人に上場企業の監査ができるのだろうか。監査の対象範囲は、リスクマネジメントやガバナンス全般に拡大している。上場企業ともなれば海外での活動がない方が稀だろう。加えて、IT技術がなければ効率的な監査はできないだろう。これらのことが小規模の監査法人にできるのか。
監査の範囲が拡大するにつれ、監査報酬を引き上げる要請が既存監査法人から来ると、それを契機に、より報酬の安い中小法人に乗り換える動きが出ている。監査をコストとしか見ていない経営感覚の表れだろう。仮に執行部門がそういう感覚であっても、監査法人は監査役の手足なのだから、監査役としては報酬の引き上げを後押しすべきだ。ここで、執行と一緒になって報酬の据え置きや引き下げを唱える向きもあるようだが倒錯している。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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