通帳不発行化
メガバンクを中心に、銀行は個人顧客をネットバンキングに誘導している。それに伴い、紙の通帳の発行を有料化したり、不発行にすると優遇したりしている。もともと通帳もカードも発行しないデジタル銀行も設立されている(1月15日日経)。顧客の利便性向上と銀行の経費削減の両者を実現するために、必然の流れと言える。
ただ、預金者が亡くなった時にはどうなるのだろう。遺産整理の典型的場面では、故人宅を家捜しして、通帳などから預金口座のありかを探していく。紙の痕跡がなく、残されたのはスマホだけ。しかもパスワードはわからない。葬儀後であれば、死者の顔認証も指紋認証もできないだろう。どうやって口座のありかの当たりを付けていくのか想像できない。
だから、特におひとりさまは、紙に口座のありかを残しておく必要があるだろう。遺言ならなお明確だ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…
-
2024.12.16
山田 重則
同性の事実婚状態にある者は社会保険関係の法令上、「配偶者」にあたるか。
遺族年金は、一定の要件を満たす「配偶者」に対し、支払いがなされます。そして、「配偶者」については、「…
-
2024.12.10
奈良 正哉
安楽死法案
英国下院で安楽死法案が通った(11月30日日経)。本人が寿命を人為的に短くすることを認める。 日…
-
2024.09.12
奈良 正哉
相続には信託
相続預金のつなぎ止めのために、地域金融機関が本体による信託ビジネス参入を図る動きが見える。人間が絶…
奈良 正哉のコラム
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…
-
2025.01.16
奈良 正哉
やっかいな隣国大混乱
やっかいな隣国の政治的混乱はその度合いを増して大混乱になってきた。 わからないのは、一般の警察と…
-
2025.01.15
奈良 正哉
経営コンサルタント倒産最多
経営コンサルタント会社の2024年の倒産件数が、集計以来最高になった(1月10日東京商工リサーチ)…
-
2025.01.14
奈良 正哉
中国長期金利下落・日中逆転
中国長期国債の利回りが引き続き低下している。2024年12月3日の日経の小さな記事に、30年債の利…