親の判断力が衰えたら
9月初旬の日経夕刊に、「親の判断力が衰えたら」と題する解説記事が2回にわたって掲載されていた。判断力の衰えに対する制度としては後見制度が定番であったが、2回目は、後見制度の弱点への対抗措置として、家族信託が大々的に紹介されていた。ただ、家族信託は、親族に財産の管理を委ねるものだから、親族による後見と同様、身近に信頼できる親族がいる場合にだけ採れる手段である。そういう人がいなければ、家族信託は諦めて、弁護士等の専門家を頼る以外にない。高齢者の独居化が進むのは、弁護士等にとってはビジネスチャンスの拡大ではある。反面、高齢者は、信頼できる専門家を早目に確保しておくべきだろう。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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