高齢者の自宅はいつ売るか。
先週発売の週刊現代に「最後まで自宅を売ってはいけない」という見出しがある。郊外の戸建て住居を売って、小ぶりの駅近マンションに引越す、高齢者施設に入居する、というのが現在のトレンドとも言える。このトレンドに対するアンチテーゼだろう。住み慣れた自宅を売って転居すれば、それまでの地域コミュニティから断絶する、新居の慣れないレイアウトで怪我をする、などが売ってはいけない理由として挙げられている。たしかにそういう側面はあるが、問題はいつが「最後まで」かだ。郊外の戸建ては需要が乏しくなってきているから、先延ばしするほど価格は下がる懸念がある。死んでから手放すのは相続人の負担になるし、共有になって事実上売却できなくなるリスクもある。死ぬ前でも認知症になってしまえば売却契約の能力を失う。「最後まで」持って売るにしても、民事信託などによって、いつでも売却できる準備をしておくのは悪くはないだろう。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.07.17
奈良 正哉
本音の身の丈ガバナンス
私のコラム群のうちガバナンスに関するものを編集して、SNSのnote の創作大賞2025ビジネス部…
-
2025.07.09
人手不足倒産
人手不足を主因とする倒産が増加している(7月9日日経)。人手不足倒産企業が、キャッシュフロー不足で…
-
2025.02.20
奈良 正哉
認知症でも証券投資
認知症になっても、親族が代理人になって証券投資(新規購入)が続けられるようにするそうだ(2月20日…
-
2025.02.18
奈良 正哉
遺産国庫帰属10年で3倍
相続する人がいなくて、結局国庫に帰属した遺産は10年間で3倍、1,000億円超になったそうだ(2月…
奈良 正哉のコラム
-
2025.07.25
奈良 正哉
地銀政策保有株の純投資目的への振替
地銀による政策保有株の純投資目的への振替が急増している(7月25日日経)。政策保有株は外部から売圧…
-
2025.07.24
奈良 正哉
トランプ関税合意
トランプ関税が合意された。事前の脅かしより低率で、想定より早く決まったので「よかった、よかった」と…
-
2025.07.23
奈良 正哉
SMBC日興証券相場操縦
SMBC日興の副社長以下幹部に相場操縦で有罪判決が出た。 同情する側面が四つある。一つは、相場操…
-
2025.07.18
奈良 正哉
訪日観光客2,000万人突破
訪日外国人観光客が史上最速で2,000万人を突破した。国別には、韓国、中国、台湾・・・と続く。韓国…