時代が移ると
大和証券の前社長鈴木茂晴氏の「私の履歴書」が日経に連載されている。それは同氏の「私の履歴書」であると同時に、高度成長期からバブル形成期そしてバブル崩壊期に至る、日本の現代経済史のようでもある。バブル形成期までは、金になればなんでもありだったことがわかる。それが今や法律や企業の内部ルールで厳しく規制されている。他方、銀行の保有する取引先の株式(政策株)の削減が、「岩盤」に当たって進捗していないとの記事がある(1月28日日経)。銀行の政策株は銀行と企業が手を取り合って、時にはなれ合いの中で、ともに発展していく手段であった。これも時代が移って許されなくなりつつある。5年後には「かつては銀行が株式を保有することが許されていた」ということになるかもしれない。さらに進んで、10年後には「かつては銀行というものがあった」ということになるかもしれない。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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