個客のほうがよく知っている民事信託
高齢資産家の財産保護や相続の前倒しの趣旨で、民事信託(家族信託)の相談が増加している印象を受ける。金融機関、他士業など相談案件の紹介者は色々だが、顧客に会うと顧客の方が信託をよく知っていると思われる場面も多い。新聞・雑誌・テレビなどで取り上げられることが多くなったせいもあろう。 件数についても例えば地域金融機関でも結構な数があるのだから、潜在的ニーズとしては大手金融機関ではもっとあると思われる。しかし実際はそうでもない。顧客から相談を受けたときに、本能的に自分が知っている遺言などのプロダクトに誘導してしまうのだろう。信託は難しいが、金融マンも士業者も少し勉強した方がいい。そしてなんでも自前主義で自社プロダクトの提供だけをするのではなく、広くプロに支援を要請して、顧客にとって一番いいサービスの提供を心掛けたほうが、結局個客の信頼を得られることになると思われる。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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