ドイツ銀行の失敗M&A
ドイツ銀行の経営再建策が発表されている(7月8日日経)。ドイツ銀行が経営不振になって久しいが、その発端は1998年のバンカーズトラスト銀行の買収にあったのではないかと、かねてから思っている。ドイツ銀行はその名のとおり、ドイツ金融界の中心であり産業の支配者であった。その経営姿勢は保守的で堅実なものであったという記憶である。それに対してバンカーズは、派手な市場取引や投資銀行業務で鳴らした、良く言えば積極果敢な、悪く言えばお行儀の悪い銀行であったという記憶である。それを保守的なドイツ銀行が買収した。食い合わせが悪い買収だと当時から思っていた。その後、高収益(少なくとも見かけは)の投資銀行部門の旧バンカーズ出身者の発言力が強まり、結果今の事態に陥ったのではないだろうか(すべて推測だが)。食い合わせの悪いM&Aは、買収側の経営の根幹をも揺るがすという見本ではないだろうか。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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