弱者連合は統治も弱い
日産の委員会設置会社への統治機構の変更議案に対して、ルノーは棄権(実質は反対)するそうだ(6月11日日経等)。ルノーが反対というよりは、その大株主であるフランス政府が反対なのだろう。企業統治を強化するのと同時に、少数株主の利益を守るという、現代のコーポレートガバナンスの趣旨の真逆を行く行為といえる。そもそも日産は労組の委員長が経営の実権を握ってから業界弱者に転落した。ドイツと比較した場合、フランスの自動車メーカーも決して強者ではない。そこにクライスラーも加わろうとしていたのだから、まさに弱者連合の観を呈していた。企業統治組織についても大株主の専断を許すようだと、ガバナンスも弱者ということになる。大丈夫か。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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