司法取引第1号のやるせなさ
三菱日立パワーシステムズという企業が、贈賄行為をした従業員を当局に「差し出す」ことにより、日本の司法取引の幕が開けた。この報に違和感というか、一種のやるせなさを感じたのは私だけではなかったようだ。会社の仕事について、数千万千の賄賂を、上司である役員の了解をとって、贈ったのであるから、企業としての犯罪であって、従業員個人はむしろ「道具」にすぎなかったのではないか。とすると、正犯である企業を免責して、道具である従業員だけを罰するのは、刑法の共犯の趣旨に反しているとも思える。こうしたことをする企業の従業員はその企業についてどういう考えを持つのだろうか。従前と同じロイヤルティを保てるのだろうか。司法取引は企業の内部統制について複雑なインパクトを与えそうだ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
| 投稿者等 | |
|---|---|
| 業務分野 |
関連するコラム
-
2026.02.04
奈良 正哉
モームリ社長逮捕
退職代行会社モームリの社長が弁護士法違反容疑で逮捕された。弁護士法違反にあたるとは思っていなかった…
-
2026.01.30
奈良 正哉
ニデック株価至上主義
ニデックの会計不正について同社は東証に改善計画書を提出した。問題の本源たる組織風土に、永守氏の「株…
-
2026.01.29
奈良 正哉
東大不祥事の「真の」原因?
東大が不祥事で揺れている。医学部教授の多数多額の接待問題だ。同大は卓越大認定に向けてガバナンスの強…
-
2026.01.07
奈良 正哉
ニデック社外取締役の責任
ニデックの永守氏はこのまま姿を消すのだろうか。もちろんニデックの会計不正やそれを生んだ企業文化につ…
奈良 正哉のコラム
-
2026.02.09
奈良 正哉
選挙を終えて
衆院選は、事前予想をはるかに超えた自民歴史的勝利、中道壊滅的敗北となった。 これからの政権運営に…
-
2026.02.04
奈良 正哉
モームリ社長逮捕
退職代行会社モームリの社長が弁護士法違反容疑で逮捕された。弁護士法違反にあたるとは思っていなかった…
-
2026.02.03
奈良 正哉
中道大敗の末に
自民大勝・中道大敗の予測が続いている。中道大敗の内訳は旧公明維持、旧立憲大敗以下の壊滅ないし死に体…
-
2026.02.02
奈良 正哉
薄利薄給のオーバーツーリズム
オーバーツーリズムが叫ばれて久しい。しかし宿泊業の業績はさえない。当然従業員の給料もさえない。1,…