銀行のピンチ 6
リスク収益性で見た場合、信用力の高い大企業への融資では、現在の低スプレッドでも収益性は確保できている。反対に、信用力の低い企業への融資では、妥当なスプレッドが確保できていない。したがってリスク収益性は赤字になっている取引が多いと思われる。例えばトヨタ自動車には0.5%のスプレッドでもリスク収益としては黒字だが、従業員10人の地場小企業には5%のスプレッドでもリスク収益は赤字である。銀行が低信用力企業に適切なスプレッドで貸せないのは、マクロ的にみればオーバーバンキングによる過当競争が原因であろう。もうひとつは5%のスプレッドというのは、サラ金の金利に近いものであり、銀行が融資先に適用するスプレッドではない、という感覚だろう。さらに言えば、銀行特に地域金融機関が、優越的地位により強制した取引条件に見えてしまうという感覚だろう。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
投稿者等 |
---|
奈良 正哉のコラム
-
2024.04.17
奈良 正哉
紅麹の影響はどこまで
紅麹が問題となった小林製薬は、再発防止策を取締役会で定期に話し合うことにしたそうだ(4月16日日経…
-
2024.04.15
奈良 正哉
地方金融機関の受難は続く
相続を期に、地方に住む親から都会に住む子供世代に預金が移動している(4月14日日経参照)。金利が付…
-
2024.04.12
奈良 正哉
廃業・倒産も悪いことばかりじゃない
ゼロゼロ融資の麻酔も切れ始めて、2023年度、廃業・休業は5万件を数え、倒産も9千件を超えた。対し…
-
2024.04.11
奈良 正哉
中国人の中国脱出
中国からの脱出は外資だけではない。中国人も大挙して脱出している。メキシコ経由アメリカへの不法中国移…