民事信託の信託財産 6
信託財産として不動産を信託すると、受託者はこれを登記しなければならない。この登記は通常の所有権移転の登記等とは違って、信託契約の概要を信託目録として併せて登記することになる。この信託目録には、委託者・受託者と並び受益者や、残余財産の帰属者が掲載されることになる。だから、当該不動産の行く末は登記を見れば誰の目にも(つまり受益者や残余財産の帰属者以外の相続人等にも)明らかになる。ここで相続争いが前倒しされることになる。逆に言えば委託者の死後の相続が争いにならないように、当該不動産の承継者を委託者と相続人間で話し合い、合意された者がその不動産の所有者になるといったことを信託契約の内容とするのが筋である。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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