会社法改正試案 2
社外取締役はいたほうがいいが、問題は人選である。ワンマンな会社では社長が社外取締役を選ぶだろう。その社外取締役によほどの使命感がないと、社長の決定に対して社外からお墨付きを与えるだけになってしまう可能性がある。会社のことや業界のことをほとんど知らない人がなると、取締役会で突飛な質問をして説明者を当惑させる。さらには、取締役会の事務方(総務部、経営企画部等のスタッフ)が議案の事前説明に多大な労力を要する。大企業は社外取締役の肩書に拘っているように思えるが、そういう人はいくつもの会社を掛け持ちする。3つも4つも掛持ちしてさらに本業がある場合、本当に牽制機能が発揮できるのか疑問である。また、3月決算の会社を掛け持った場合、決算取締役会から株主総会の演習までが5月から6月周辺に固まるから、事務方によるスケジュール調整も大変である。会計士OBがなると会計不正が防止できるのか、検察官OBがなると企業不祥事が防止できるのか、経験的には不明である。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
| 投稿者等 | |
|---|---|
| 業務分野 |
関連するコラム
-
2025.12.25
奈良 正哉
副業不動産の売却
サッポロビールはアクティビストに迫られて、恵比寿ガーデンプレイスなど不動産事業をファンドに売却する…
-
2025.12.16
奈良 正哉
JPX内部通報制度審査
JPXは、新規上場に際して内部通報制度の整備状況を審査する(12月12日日経)。オルツの不正会計が…
-
2025.12.11
奈良 正哉
NHK新会長
NHK新会長は内部昇格となった。改革には内部をよく知る人が適任とされた。しかし、一方では、外部のな…
-
2025.11.26
奈良 正哉
大企業社長の報酬低すぎないか
売上高1兆円超の企業57社(調査回答)の社長の報酬の中央値は1.2億円だそうだ(10月21日日経)…
奈良 正哉のコラム
-
2025.12.26
奈良 正哉
2025年の振返り
年末になってテレビでは2025年の振返りが盛んだ。良くも?悪くも、トランプの年だった。アメリカファ…
-
2025.12.25
奈良 正哉
副業不動産の売却
サッポロビールはアクティビストに迫られて、恵比寿ガーデンプレイスなど不動産事業をファンドに売却する…
-
2025.12.24
奈良 正哉
中国の婚姻奨励と多産奨励
中国は急激な人口減が予測されている。それへの国や地方の対抗策として、婚姻を奨励したり、多産を奨励し…
-
2025.12.23
奈良 正哉
南鳥島沖レアアース試掘へ
政府は南鳥島沖でレアアースの回収施設を設置する。試掘は27年からだ(12月23日日経)。これまでも…