改正犯収法#04 犯罪収益移転防止法違反があったときの責任は?
犯罪収益移転防止法違反があったときの責任は?
取引時確認で所定の確認事項を偽って取引をした場合、当該取引をした者及び特定事業者の責任はどうなるのでしょうか?取引時確認において、特定事業者に過失があった場合はどうなるのでしょうか?
1 犯罪移転防止法違反の責任
(1) 当該取引をした者
顧客等は、特定事業者が取引時確認を行う場合に、取引時確認に係る事項を偽ってはならないとされています(法4⑥)。
そして、当該顧客等が、本人特定事項を隠ぺいする目的で、取引時確認に係る事項のうち、本人特定事項を偽って取引をした場合、当該顧客等は1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処にされる、又は懲役と罰金とが併せて科されます(法26)。
(2) 特定事業者(過失の無い場合)
特定事業者は、本人確認義務を怠ったとして責任を問われることはありません。
(3) 特定事業者(過失のある場合)
すぐに罰則が科せられるのではなく、行政庁から、違反状態の是正のために必要な是正命令(法17)がくだされます。この是正命令に違反した場合に罰則が科されます(法24)。
2 特定事業者に過失がある場合の行政庁の対応
①本人確認について、報告又は資料の提出を求める(法14)
②特定事業者の営業所その他の施設に立ち入り、帳簿書類の検査や関係人に質問する(法15)
③本人確認の事務に過失があったと認められる場合は、指導、助言及び勧告をする(法16)
④是正のために必要な措置を取ることを命ずることができる(法17)
3 関連豆知識
(1)本人特定事項に限る
顧客等につき、本人特定事項以外の取引時確認に係る事項を偽った場合の罰則は規定されていません。
(2)特定事業者の本人確認に過失の無い場合とは?
顧客等の提示する本人確認書類や顧客等の陳述について、その通常の特定取引において必要とされる善管注意義務を果たして判断し、その結果として虚偽の書類であったこと、虚偽の陳述であったことを見抜けなかった場合は、当該特定事業者には過失が無いとされます。
(3)特定事業者の名称の公表
行政庁がある特定事業者に対して是正命令を発した場合は、その事実がその特定事 業者の名称とともに公表されます。
(4)是正命令に違反した場合
2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれを併科されます(法24)。
是正命令に違反した行為者のみならず、法人にも3億円以下の罰金刑が科されます(法29)。
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