改正犯収法特集 #01 「10万円超の振込で職業を聞かれる『犯収法』って何?」
1 そもそも犯収法って何?(総論)
(1)背景
「4月1日から10万円を超える現金振込をするときには職業を聞かれるようになります」というようなテレビコマーシャルが盛んに放映されています。10万円を超える現金振込をするだけでイチイチ職業を聞かれたり、会社の場合は定款を見させられたりというのだから、何とも面倒なお話しです。
これは、2年ほど前に改正が決まった犯収法という法律(正式な名前は「犯罪収益移転防止法」です。)が、今年の4月1日からいよいよ施行されることによるものです。
(2)犯収法とは?
犯収法は、もともと2007年に制定されました。薬物売買などの組織犯罪やテロ活動などを抑制するために、世界的にマネー・ロンダリング(資金洗浄)を行いにくくするための対策を取ろうという国際社会の要請を受けたものです。
マネー・ロンダリングとは、犯罪行為によって得た収益やテロ活動を支援するための資金などを移動する際に、偽名を使って振込をしたり、複数の国をまたぐ金融ネットワークを使って転々と口座を移動させたりして、お金の出所を隠したり、分からなくする行為です。
(3)犯収法の改正は何故?
お金が簡単に国境を越える現代社会では、いくら自分の国でマネー・ロンダリング対策をしても、よその国で対策のあまいところがあると、その穴が利用されることによって、なかなか組織犯罪抑止の効果をあげることが難しくなってしまいます。
そこで、今はFATF(ファトフ)という国際組織があって、これが、関係各国のマネー・ロンダリング対策の有効性を定期的にチェックする仕組みになっています。そして、日本は、2008年に行われたFATFのチェックにおいて、とても悪い成績をつけられてしまいました。
このため、日本は、まだ制定したばかりの犯収法による規制をより強化する必要に迫られ、犯収法を改正することとなり、今回いよいよその改正犯収法が施行されるというわけです。
(4)どう改正されるの?
犯収法は、もともと、一定の業務を行っている者(例えば、銀行やカード会社、不動産業者、宝石貴金属業者、私設私書箱業者など)は、顧客と取引をする際に顧客の素性を確認し(本人確認をし)、取引の記録を保管し、犯罪収益の移転に関わっていそうな怪しい取引があった時には行政庁に届け出ることを義務付けています。
今回の改正では、顧客の素性を確認する際に調べなければならない事項が追加されたり(例えば、取引の目的や、顧客自身の職業など)たり、このような本人確認を義務付けられる職種が追加される(例えば、電話転送サービス事業者など)、などの規制強化がなされています。
(5)詳細は、、、
以上、犯収法とその改正についてごくごく大雑把に見てきましたが、そのもう少し細かい中味や、他の法制度などとの関係について、これから、私共の事務所のホームページにおいて、随時解説をアップしていく予定です。もしかすると、しばらくしたら、書籍も出版するかも知れません。いずれにしても、是非、ご期待下さい。
(7)「待てない」という方には
今回の犯収法改正の内容について、もう少し詳しく、早く知りたいという方には、まずは、以下のURLから入手できるA4一枚程度のパンフレットが参考になると思います。
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/pdf/leaf20130401.pdf
さらに詳しい解説を見てみたいという方には、以下のURLで解説資料を入手できます。
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/hourei/data/filowcls20130201.pdf
2013年3月29日 鳥飼総合法律事務所
関連するコラム
-
2026.04.23
奈良 正哉
プルデンシャル生命問題
プルデンシャル生命は営業自粛期間を11月まで延長した。問題の本源は「フルコミッション(完全歩合)」…
-
2026.04.22
奈良 正哉
みずほ信託総合首位
みずほ信託銀行は、商品力や使いやすさによる評価ランキングで初の総合首位となった。(4月22日日経評…
-
2026.04.21
奈良 正哉
個人株主もものを言う
株式持合いの解消で、会社の安定株主を求める動きが活発だ。安定株主と目されてきたのは個人株主だ。しか…
-
2026.04.15
奈良 正哉
東大の再発防止策
東大は、付属病院医師の汚職に対して再発防止策を発表した(4月9日日経)。卓越大認定のために必死のよ…