親の判断力が衰えたら
9月初旬の日経夕刊に、「親の判断力が衰えたら」と題する解説記事が2回にわたって掲載されていた。判断力の衰えに対する制度としては後見制度が定番であったが、2回目は、後見制度の弱点への対抗措置として、家族信託が大々的に紹介されていた。ただ、家族信託は、親族に財産の管理を委ねるものだから、親族による後見と同様、身近に信頼できる親族がいる場合にだけ採れる手段である。そういう人がいなければ、家族信託は諦めて、弁護士等の専門家を頼る以外にない。高齢者の独居化が進むのは、弁護士等にとってはビジネスチャンスの拡大ではある。反面、高齢者は、信頼できる専門家を早目に確保しておくべきだろう。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.02.20
奈良 正哉
認知症でも証券投資
認知症になっても、親族が代理人になって証券投資(新規購入)が続けられるようにするそうだ(2月20日…
-
2025.02.18
奈良 正哉
遺産国庫帰属10年で3倍
相続する人がいなくて、結局国庫に帰属した遺産は10年間で3倍、1,000億円超になったそうだ(2月…
-
2025.01.30
奈良 正哉
身元保証
独居高齢者が増加するにつれ「身元保証」が問題になっている(1月8日日経)。身元保証人は病院や施設に…
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…
奈良 正哉のコラム
-
2025.07.03
奈良 正哉
アクティビストとの会話
アクティビストとの会話にはもちろん有益な面もある。製造会社であれば経営者の主な関心は作ることと売る…
-
2025.07.02
奈良 正哉
路線価上昇
路線価(土地価格指標)が上昇している。第2のニセコとして白馬村が活況だそうだ(7月2日日経)。ニセ…
-
2025.07.01
奈良 正哉
日本郵政トホホな株主総会
株主総会シーズンが終わって日経は複数のレビュー記事を掲載してきた。日本郵政もそのひとつだ。数々の不…
-
2025.06.30
奈良 正哉
ウナギに口を出すな
今年シラスウナギが豊漁でウナギの価格低下が見込まれている。喜ばしい。 他方、長期的には問題が発生…