本当に必要なのは廃業支援?

 事業承継への公的支援は税制など多岐に渡るが、本当に必要なのは、廃業支援かもしれない。同様の意見が日経の月曜経済観測(8月19日)に掲載されている。地域金融機関の経営者からは承継よりも廃業の相談が多いとの話を聞く。また、日本は他の先進国に比べて生産性が低いが、生産性の低い中小企業が多いからではないか。北欧などは大企業のGDP占有率が高いから全体の生産性が高いとの分析もある。中小企業の事業承継を公的に後押しする根拠として、それらが廃業すると、その分GDPが失われ、雇用が失われ、技術が失われるとするが、本当にそうか。それらはより生産性の高い大企業に、形を変えて移転していくのではないか。廃業については、外部の専門家がそれに喰いついてもさしたる利益を生まないから、廃業支援に熱心な専門家の存在は聞くことがない。とすればますます公的な支援が必要なのではないのか。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

関連するコラム

奈良 正哉のコラム

一覧へ