事業承継税制最後の一歩
中小企業の事業承継が喫緊の課題になっている中、国は税制の優遇措置を拡大してそのスムースな承継を後押ししている。その結果か「事業承継税制 中小が積極利用(5月19日日経)」という見出しに至ったが、多少割引して評価しなければならないかもしれない。なぜなら、記事中明らかになっているのは、事業承継税制の適用を受ける前提としての、事業承継計画の提出件数が増加している、ということに留まるからだ。計画の提出をしても実際に自社株を贈与して優遇税制の適用を受けるところまで、決心がついていない事業主が多いように見受けられるからだ。今すぐに息子に経営をバトンタッチする、すなわち引退するという決断はなかなか着くものではない。また優遇税制の適用を受け続けるために、経営体制は相当長期に渡って制約を受ける。これらの覚悟がない限りなかなか最後の一歩は踏み出せないのが本音ではないか。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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